もくじ
なぜ「うちの社長だけ」が高級車に乗れるのか?
朝から晩まで働いても給料はギリギリ、残業代も出ない。なのに、社長は高級外車に乗って、年に何回も海外旅行に行っている。
「どうして社長だけがこんなに潤っているのか?」
この疑問、ブラック企業で働く人なら一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
実は、こうした構造には経済的なカラクリがあります。表面的には「会社が儲かっている」ように見えるものの、実態は社員を犠牲にした利益確保のモデルが組み込まれているのです。
この記事では、ブラック企業の社長がなぜ儲かるのか、その裏にある経済構造をわかりやすく解説し、労働者がどう対処すべきかのヒントも紹介していきます。
ブラック企業とは?定義と特徴
まず、「ブラック企業」とはどんな会社かを整理しておきましょう。
■ よくある特徴
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長時間労働(いわゆるサービス残業)
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パワハラ・モラハラ体質
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低賃金かつ昇給なし
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残業代未払い・手当の不正
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離職率が異常に高い
表面的には業績が良く見える会社もありますが、それは人件費を削って利益を出しているから。数字だけ見れば「黒字」でも、内部の実態は真っ黒というケースは少なくありません。
社長が儲かる仕組み①:人件費を抑えて利益を最大化
企業にとって大きなコストのひとつが「人件費」です。これを極限まで削ることで、利益率を上げるというのが、ブラック企業の典型的なやり方です。
■ 労働分配率が異常に低い
労働分配率とは、企業が得た利益のうち、どれくらいを労働者に回しているかを示す指標です。
一般的な企業では50〜60%が目安ですが、ブラック企業では30%台やそれ以下ということも。つまり、社員にはギリギリまで払わず、利益を経営者が独占している構造です。
■ 固定費を削り、役員報酬や内部留保に集中
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社員の給料は据え置き
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福利厚生も最小限
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教育費や人材開発コストもカット
浮いたお金は、役員報酬や内部留保に充てられます。実質的には、「人の労力を使って社長が儲ける」という搾取モデルなのです。
社長が儲かる仕組み②:税金対策と経費の抜け道
儲けたお金をどう使うかもポイントです。ブラック企業の社長は、税金を抑えながら実質的な個人資産を増やす方法を知っています。
■ 会社名義で高級車や住宅を購入
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高級外車→「営業車」として経費計上
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社宅→「福利厚生費」として節税
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飲み会・旅行→「接待交際費」で処理
このように、会社の経費として落とすことで、社長個人が贅沢な生活をしても表面上は“節税”扱い。社員から見れば「なんでこんなに金持ちなの?」と思えても、帳簿上は合法的に処理されていることが多いのです。
■ 高額な役員報酬でも節税できるケースがある
法人税と所得税のバランスを見ながら、会社から社長個人への報酬を調整。法人の利益を減らすことで、会社も社長もトータルで得をする仕組みを使っているのです。
社長が儲かる仕組み③:離職率が高くても回る構造
「うちは人がすぐ辞めるけど、それでも何とか回ってる」
そんな企業は、教育や人材定着にコストをかけずに、安価な労働力を常に確保するモデルで動いています。
■ 若手や非正規を使い捨て
正社員よりもコストの低いアルバイトや契約社員を大量に採用し、教育もせずに現場に投入。
人が辞めればまた募集し、常に新しい労働力を入れ替えていく。
■ 長期的な損失よりも、短期的な人件費の安さを優先
普通の企業なら「辞められる=損失」ですが、ブラック企業にとっては、「安く回せる」方が経済的に得。
この発想が、長時間労働・過重労働を正当化してしまう温床になっています。
ブラック経営に対抗するために個人ができること
ブラック企業に勤めていると、「自分にできることなんてない」と思いがちですが、見える化と情報収集がカギです。
● 給与明細や決算書の見方を学ぶ
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給与明細で「控除項目」「残業代の計算」が正しいか確認
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決算書や有価証券報告書が見られる場合は、役員報酬や労働分配率をチェック
ブラックな構造が見えてきます。
● 転職市場の相場と比較する
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同じ業界、同じ職種で他社はどれくらいの給料を出しているか調べる
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転職エージェントや口コミサイトを使って「外の世界」を知る
「ここしかない」と思っていたのが、視野を広げることで冷静な判断ができるようになります。
● 労働基準監督署・労働組合・ユニオンを活用する
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明らかに違法な働き方をしているなら、労基署に相談
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一人で難しい場合は、労働組合や地域ユニオンに加入し、集団で動く
ブラック企業を相手にするには、「正しい知識+仲間の力」が必要です。
まとめ:社長が儲かる構造は「社員の犠牲の上」にある
ブラック企業の社長が儲かっている理由は、経営がうまいからではありません。
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人件費を削り
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節税で資産を築き
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社員を使い捨てにしている
このように、社員の犠牲の上に成り立っている経済構造であることが多いのです。
でも、この構造は知識を持った労働者の「気づき」と「行動」によって崩すことができます。
✔ 知識をつけて可視化する
✔ 情報を集めて比較する
✔ 仲間と声を上げる
ブラック企業を変えるには、まずは「自分の会社がおかしいと気づくこと」から始まります。
「なんとなくおかしい」と感じているあなたの直感は、案外正しいかもしれません。そろそろ行動を始めてみませんか?