「人手不足」という言葉、最近どこでも聞きますよね。
特に、介護業界やサービス業、物流業界などで深刻な問題として取り上げられています。でもその原因、本当に「人がいない」だけでしょうか?
実は人が足りない中、適切な給料が支払われていないことが、「人手不足」をさらに悪化させているのではないでしょうか。
もくじ
人材が定着しないのは「条件」の問題
多くの求人には「未経験OK」「やる気重視」なんて甘い言葉が並んでいますが、いざ条件を見てみると、時給900円〜1000円、もしくは月給15万円前後なんてことも珍しくありません。これで家賃や食費を賄い、将来のために貯金も……なんて夢のまた夢です。
例えば、介護業界では命を預かる責任のある仕事をしていても、労働条件が厳しく、報酬が低いという状況が続いています。同じように、サービス業でも少人数で多くの業務をこなす負担が増しているのに、時給は最低賃金ギリギリというケースが後を絶ちません。
これでは「頑張りたい」「この仕事を続けたい」と思っていた人も心が折れてしまいますよね。
給料が低いのに仕事量が増える現場
人手不足が叫ばれる職場では、現場にいる人の負担がどんどん増えています。
少ない人数で回すために、一人一人が複数人分の業務をこなすことが当たり前になり、その結果、疲れ果てて辞めていく人が後を絶たない……。悪循環です。
- 介護業界では、1人で複数の利用者のケアを担い、ゆっくり話をする時間も取れない状況。
- サービス業では、レジ、接客、品出し、清掃などをすべて一人でこなさなければならない。
- 物流業界では、ドライバー不足で配送エリアが拡大し、過剰な勤務時間を強いられる。
これらの現場では、「人がいないから負担が増える→辞める人が増える→さらに人がいない」というスパイラルが続いています。給料が低いままでは、この状況を改善するのは難しいでしょう。
「人手不足」とは、待遇の悪さを隠す言葉?
「人手不足」という言葉は、働く側から見ると「待遇が悪いから人が集まらない」ことを覆い隠すための都合の良い表現に聞こえることもあります。
つまり、企業側の都合で「もっと安く、長時間働いてくれる人」を求めているからこそ、人手不足が解消されないのではないでしょうか。
具体的には、こんな現実が隠れています。
- 「人がいない」ではなく、「この給料で働く人がいない」
適切な報酬を払わずに人材を募集するから、結局応募が来ない。 - 「やる気がある人がいない」ではなく、「やる気を出せる待遇がない」
モチベーションを保つには、適切な給与や労働環境が必要です。
これらを無視したまま「人手不足」とだけ言われても、働く側としては納得できません。
働く人々の声が届いていない現実
「これじゃ生活ができない」「こんなに頑張っても給料が変わらない」――こうした声が現場で溢れていますが、それが上層部に届くことはほとんどありません。
- 「この仕事を続けたいけど、給料が低すぎる」という声。
- 「適切な休みや給料があれば、この業界でキャリアを積みたい」という願い。
これらは、どれも現場の働き手の正直な気持ちです。
それでも企業は、「利益を守る」という理由でこれらの声を軽視し続けているのが現状です。
おわりに:「人がいない」のではなく、「人が集まらない」
「人手不足」の問題を解消するためには、まずは適切な給料を支払うことが必要です。人が少ない中で必死に働いている人たちに、見合った報酬を支払うことは最低限のマナーではないでしょうか。
本当の「人手不足」とは、人材が存在しないことではなく、「条件が悪いから働きたいと思う人がいない」ということです。
適切な給料と待遇が当たり前の社会になることを願って、この記事を締めくくらせていただきます。