もくじ
「氷河期世代」という言葉がまだ必要な日本社会
「就職氷河期世代」。この言葉を耳にしてから、すでに20年以上が経ちます。
バブル崩壊後、1990年代半ばから2000年代初頭にかけて、企業の新卒採用は一気に冷え込みました。
その影響を最も強く受けたのが、1970年〜1985年ごろに生まれた人たち。
彼らは「氷河期世代」と呼ばれ、今もなおそのレッテルを背負い続けています。
正社員としての就職が叶わず、非正規雇用で長年働き続けてきた人も多く、
キャリアは途切れがち、収入も安定せず、老後への不安が積み重なる日々。
果たして、この世代はこれから本当に“救われる”ことがあるのでしょうか?
氷河期世代が抱えてきた課題とは?
● 就職の出発点でつまずいた
氷河期世代は、社会に出るタイミングでいきなり大きな壁にぶつかりました。
新卒採用が極端に少ない時代。「正社員になれなかった」ことが、その後の人生に長く影を落としています。
正社員経験がない、または短期間だったという人は、
その後も非正規・派遣・アルバイトといった不安定な働き方にとどまるケースが多く見られます。
● キャリアが築けないまま中高年に
キャリアの積み上げが困難だったため、昇給や昇進のチャンスがほとんどなかったという人も多いです。
気づけば40代、50代。それでも収入は20代の若手と変わらず、貯金もほとんどないという現実。
● 将来に対する不安が強い
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年金はほとんど期待できない
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家や資産を持っていない
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病気や老後に備える余裕もない
「生き抜くだけで精一杯」──そんな声が氷河期世代から多く上がっているのです。
過去に行われた支援策とその限界
政府や自治体も、氷河期世代への対策を講じてこなかったわけではありません。
代表的な施策には以下のようなものがあります。
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正社員登用を促進する企業への補助金
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職業訓練・資格取得のサポート
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ハローワークによる「就職氷河期世代支援プラン」
しかし、こうした支援にはいくつかの問題点がありました。
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対象者が限定されており、すべての氷河期世代をカバーできていない
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求人の質が低く、「支援のための求人」という印象も
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年齢制限があり、条件を満たしていても受けられないこともあった
結果として、本当に必要としていた人に届かなかったというケースが少なくありません。
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いま、国や自治体は何をしているのか?
現在も各自治体で継続的な支援策は存在しています。
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地方自治体が就労支援員を配置し、求職活動をサポート
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住まいや生活に困っている人向けに、生活保護や住宅確保給付金などを案内
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一部の自治体では、氷河期世代を対象に「公務員としての採用枠」を設ける取り組みも
ただし、これらの取り組みは地域差が大きく、採用数もごくわずか。
狭き門であることに変わりはありません。
「救われる」とは何か?制度だけでは届かない“壁”
多くの氷河期世代が抱いているのは、単なる金銭的な不安だけではありません。
「頑張っても報われない」
「どれだけ努力しても過去は埋められない」
こうした感情は、政策や数値目標だけでは解決できないものです。
● 構造的なハードル
日本の雇用慣行は、「新卒一括採用」「終身雇用モデル」に根ざしています。
そこから外れてしまった氷河期世代が再び戻るには、構造自体が変わらなければならないのです。
また、自己責任論が強く根づいた社会では、
「支援=甘え」という目線も根強く、当事者が声を上げづらい空気があります。
まとめ|氷河期世代に必要なのは“共感と構造の変化”
氷河期世代が本当に“救われる”ためには、
再就職支援や給付金といった一時的な対策だけでは不十分です。
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雇用制度そのものの見直し
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支援を「甘え」としない社会的認識の転換
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当事者が声を上げやすくなる社会風土の醸成
そして何より、「この世代は見捨てられた」と感じている人たちに、もう一度希望の光を届けることが必要です。
氷河期世代は、今まさに40代〜50代という「社会を支える中核世代」。
この10年が、最後のリカバリーのタイミングとも言えるでしょう。
「過去を責めるのではなく、未来をどうつくるか」
その視点から、個人にも社会にもできることがあるはずです。
誰かのせいにされ続けてきた世代にこそ、光が差し込む未来であってほしい。そう願っています。
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