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「退職届」と「退職願」、何が違うの?
「会社を辞めたい」と思って調べてみたら、よく目にするこの2つの言葉——退職届と退職願。なんとなく同じように感じてしまいますが、実は意味も効力もまったく違うってご存じでしたか?
特にトラブルなく円満に辞めたい場合や、逆にブラック企業から抜け出したい場合など、状況によってどちらを出すべきかが変わってくるんです。
この記事では、それぞれの違いと使い分けのコツを、わかりやすく解説していきます。
退職届とは?【一方的な通告】
まずは「退職届」について。
これはその名のとおり、「辞めることを会社に通告する書類」です。
✔︎ 特徴と法的効力
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「◯月◯日をもって退職します」と自分の意思で一方的に提出するもの
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原則として撤回できません
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会社側が「ダメ」と言っても、受理の有無に関係なく辞めることが可能
つまり、「退職届」は強い意思表示であり、労働契約を終了させるための法的な手段にもなり得ます。
✔︎ どんなときに使う?
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すでに退職が確定していて、形式として書類を提出する場面
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ブラック企業などで、強引に辞めたい場合
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退職日が明確で、会社の了承を得る必要がないとき
退職願とは?【お願いベースの意思表示】
一方で「退職願」は、名前からも分かるように、会社に対して“お願い”する形の書類です。
✔︎ 特徴と法的効力
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「退職を希望します」と会社の承認を前提にした意思表示
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受理されるまでは撤回可能
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合意が成立して初めて、退職が決まる
つまり、「退職願」はまだ交渉段階の文書とも言えます。
✔︎ どんなときに使う?
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円満退職を目指している場合
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上司との話し合いを経て、退職時期や条件をすり合わせたいとき
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就業規則で「退職願を提出」と定められている場合
使い分けのタイミングと例
それぞれの性質を理解したうえで、具体的なシチュエーション別に使い分けを見てみましょう。
状況 | おすすめの書類 | 理由 |
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円満退職を目指す | 退職願 | 柔軟な話し合いが可能、撤回もできる |
トラブルが予想される | 退職届 | 一方的に辞める意思を表明できる |
会社指定の書類がある | 指定に従う | 社内ルールが優先されるため |
会社によっては、最初は口頭での意思表示 → 次に「退職願」提出 → 最終的に「退職届」提出、というフローが決まっていることもあります。社内の就業規則を確認してから動くのが鉄則です。
提出のタイミングと注意点
● いつ出せばいい?
基本的には、就業規則で「退職の◯日前までに申し出ること」と決まっています。多くの会社では「1ヶ月前」が一般的です。
ただし、民法では「2週間前に通告すれば退職できる」ともされています。特にブラック企業などで早期退職したい場合は、法律上の権利を行使する形で退職届を出すケースもあります。
● 書式とマナーの基本
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宛名:会社の代表者名(例:代表取締役社長◯◯様)
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日付:提出日と退職希望日を明記
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署名・押印:自署+認印(印鑑は求められないことも)
また、退職の意志は口頭だけでなく、必ず書面で残すことが大切です。あとから「聞いていない」と言われるトラブルを防げます。
まとめとアドバイス:退職書類は“武器”にも“橋渡し”にもなる
「退職届」と「退職願」。どちらも“退職したい”という気持ちを表すものですが、目的や状況によって選ぶべきものが違います。
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話し合いを重ねたいなら退職願
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決意が固く、トラブル回避が目的なら退職届
どちらの場合でも、最低限のマナーと知識を持って準備することが、スムーズな退職への第一歩です。
「正直、どう書いていいか分からない…」という場合は、ネットでテンプレートを参考にしたり、転職エージェントに相談するのもおすすめです。書類1枚でその後の印象や関係が変わることもあるので、丁寧に対応したいですね。
退職は人生の節目のひとつ。だからこそ、自分の意思を正しく伝えられるようにしたいですね。焦らず、丁寧に、そして前向きに。あなたの次の一歩がより良いものになりますように。