もくじ
「好きなことを仕事にできて幸せ」…本当にそうですか?
「子どもの頃からの夢を叶えた」「憧れの業界で働けている」
そんな日々を送っているはずなのに、気づけば通帳の残高は減る一方。
休日はほとんどなく、残業代も出ない。
それでも「好きなことだから」と自分に言い聞かせていませんか?
それこそが、「やりがい搾取」です。
やりがい搾取とは何か?
簡単に言えば、「情熱を口実に、労働力を安く買いたたく仕組み」です。
-
「やりたいことができるんだから我慢できるよね?」
-
「この業界はみんな好きでやってるんだよ」
こうした言葉で、低賃金・長時間労働を“正当化”してしまう。
特に多いのが、
-
クリエイティブ業界(デザイン・映像・出版など)
-
エンタメ(舞台・イベント運営・音楽)
-
福祉・教育分野
共通しているのは、「この仕事が好き」という想いを持つ人が多く、経営側がその情熱を利用しやすいという点です。
なぜやりがい搾取が起こるのか?
1. 競争過多で“代わりはいくらでもいる”構造
人気業界ほど応募者が殺到し、「嫌なら辞めてもいい」という空気が蔓延します。
需要より供給が多ければ、待遇改善の動きは鈍くなります。
2. “情熱”による自己犠牲の正当化
「自分が選んだ道だから仕方ない」と思い込む。
その結果、ブラックな条件にも耐えてしまい、構造が温存されます。
3. 経営側のコストカット戦略
「やりがいがあるから低賃金でも人は来る」
これは経営にとって都合の良い口実であり、ビジネスモデルとして組み込まれているケースもあります。
やりがい搾取の末路
1. 生活が成り立たない
家賃や生活費で精一杯。結婚や家庭を持つ余裕もない。
結局、夢を諦めて別業界へ移る人が増えます。
2. 産業全体の人材流出
経験を積んだ人ほど待遇の良い業界へ流れてしまい、残るのは未経験者や短期間の人材ばかり。
結果としてサービスや作品の質が低下します。
3. 好きだった仕事が嫌いになる
「この業界が悪いわけじゃない」と頭ではわかっていても、心がついていかない。
かつての情熱が、苦痛の記憶にすり替わってしまいます。
やりがいと生活のバランスを取るために
自分の市場価値を知る
同業他社やフリーランスの相場を調べ、自分のスキルがどれくらいの報酬に値するのかを把握しましょう。
給与・待遇の交渉スキルを身につける
「言えば嫌われる」と思いがちですが、交渉はビジネスの基本。
事実と実績をもとに話せば、感情論になりにくいです。
副業や複業でリスクを分散
本業一本に依存すると、やりがい搾取の構造から抜け出しにくくなります。
少しずつ別の収入源を作るだけでも、交渉の立場が強くなります。
まとめとメッセージ
「好きな仕事だからこそ、低賃金でも耐える」──それは長く続きません。
やりがいは大切ですが、生活の基盤がなければ情熱は簡単に摩耗します。
やりがいと報酬は両立できるべきものです。
あなたの時間と技術は、安く使い捨てられていいものではありません。
情熱を“安売り”しない勇気を持つこと。
それが、あなた自身と、あなたが愛する仕事を守る第一歩です。